舞台「上を下へのジレッタ」で関ジャニ横山「野心家で思い出すのは村上」

シアターコクーン・オンレパートリー2017「妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』」製作発表より。上段左から小林タカ鹿、馬場徹、竹中直人、玉置孝匡。下段左から倉持裕、中川翔子、浜野謙太、本仮屋ユイカ。

手塚治虫原作による舞台「妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』」の製作発表が、本日4月10日に都内にて行われた。

原作「上を下へのジレッタ」は1968年より週刊漫画サンデー(実業之日本社)に連載。業界を追われたテレビディレクター・門前市郎が、誰でも体験できる妄想の世界“ジレッタ”を発見したことから起こる大騒動を描いた異色作だ。初の舞台化となる本作では、脚本・演出に倉持裕を迎え、歌とダンスを取り入れた“妄想歌謡劇”として上演される。

主人公のダークヒーロー・門前市郎を演じる関ジャニ∞の横山裕は、「今回、歌が盛りだくさんなので、初めてボイトレをやらせていただきました。関ジャニ∞では、そういうのあまりやってなかったんで(笑)。歌ってこんな難しかったっけ? こんな歌うんや? いや大変やなと思いながらやってます」と稽古の状況を語る。

倉持は「原作ではエロスの描写が多いのですが舞台では抑え目で。現実と妄想は主に音楽で色分けしています。現実ではジャジーなメロディ、妄想になるとカントリー調になったり、昭和のアイドルふうや歌謡曲、ハマケン(浜野謙太)が出てくるとファンキーな曲になったり、竹中(直人)さんのシーンはテクノっぽくアレンジされたり」と構想を覗かせる。

“不器量な容姿のため覆面歌手として活動していたが、空腹になると絶世の美女に変身する歌手”・小百合チエ役の中川翔子は、変身シーンについて「今試しているところなのですが、皆が笑うくらいすっごいブサイクです(笑)」とコメント。「舞台だからこそ成立する、いいアナログさと技術とがミックスできれば」と語った。倉持は該当シーンの演出について「仕掛けはちょっとまだ言えないですね。がんばるところはがんばります。がんばらないところはがんばりません」と潔い回答。「スタッフと試行錯誤してますが、実現させます」と意気込んだ。

本仮屋ユイカは、門前のブレーンであり元恋人、間リエ役。稽古場での横山について「演出を受けたときの反射神経がすごい。そして台本を1回も稽古場で持ってない。膨大なセリフと歌と振りを、一体どうしてるんだろうとタフさにびっくりしてます」と賛辞を送る。これを受けて、横山が「だから夢に出てくるんですよ……。今日も5時半くらいに起きて、リビングに行って台本読んでひと安心して、また寝るっていう……」と本作に打ち込む近況を明かす。

続くジレッタのスポンサー・有木足役の竹中直人は「僕は倉持裕さんの大ファン。5年間連続、倉持さんとやってるのは俺の自慢なんです」と出演の喜びを語り、アメリカの大物ミュージカルスター、ジミー・アンドリュウス役の馬場徹は「今のうちに宣伝しておきます」と公演中に誕生日を迎えることをアピール。共演者の劇団ペンギンプルペイルパイルズ・小林タカ鹿は「楽曲が素晴らしいしアンサンブルの士気も高い。絶対面白くなると思う」、玉置孝匡は「10役くらいやるんですけど、まだ把握できてなくて……でもそれを楽しみます」と挨拶した。

主人公・門前の、目的達成のために手段を選ばず、猛進する野心家ぶりが見どころの1つとなる本作。役作りの参考にした人物を記者から尋ねられると、横山は「野心家でパッと思い出したのはうちのメンバーの村上(信五)ですかね。彼、お金好きですからね。参考にはしてないですけど(笑)」と回答。「門前って男は近くにいたら被害を被りそうですが、俯瞰で見ると『カッコいいな、俺もああなりたいな』と思える男性。お客さんにカッコいい門前を見せられるようにがんばります」と目標を述べた。

そんな横山の人柄を中川は「華やかで明るくて関西弁でずっとしゃべってる人かと思ってたら、むしろ観音様のような……。横山大明神って呼んでます。それくらい、現場の士気を上げるというか、分け隔てなく『ごはん食べに行くぜ!』ってボス感がすごい。その点で門前と共通したカリスマ感がある」と分析。これを受けて横山は「いや、『行くぞ』とは言えないんですよ。そこはもうハマケンを通して『ちょっと皆誘ってくれへん? 早く』って」と内気な一面を明かし訂正する。「本当にやらせるよね。俺よう言われるから『なんで俺!』って」と笑う浜野は、横山と今回が初共演。横山が「同い年で意気投合してます。僕は若干下に見てますけど(笑)」と返し、息の合った掛け合いを見せ、会場を笑わせた。

関ジャニ∞のメンバーが観に来るかという質問には「時間があったら来てくれると思いますけど、メンバーも同じ時期に舞台やってるので……」と回答。「僕が失敗したら、メンバーに迷惑がかかるなとプレッシャーもありますが、ほかのメンバーもがんばっているので刺激を受けます」とグループの一員らしいコメントをし、最後に「『妄想歌謡劇』は本当にいいタイトル。皆さんを見たことのない世界に、まさに“ジレッタ”の世界に誘いたいと思います」と観客に呼びかけ、会見は締めくくられた。

公演は5月7日から6月4日まで東京・Bunkamura シアターコクーンにて、6月10日から19日まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて行われる。なおこのたび、4月16日よりチケットぴあにて、立見前売り券が販売されることも決定した。

シアターコクーン・オンレパートリー2017「妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』」

期間:2017年5月7日(日)~6月4日(日)
会場:東京・Bunkamura シアターコクーン

期間:2017年6月10日(土)~19日(月)
会場:大阪・森ノ宮ピロティホール

原作:手塚治虫
脚本・演出:倉持裕
音楽:宮川彬良
出演:横山裕、中川翔子、浜野謙太、本仮屋ユイカ、小林タカ鹿、玉置孝匡、馬場徹、銀粉蝶、竹中直人 ほか